Week 43, 2025
📰 今週のヘッドライン(Week 43, 2025)📅 集計期間:2025-10-20〜2025-10-26
Karpathy、「AGIはまだ10年先」発言で議論沸騰 — 強化学習の限界と「収束崩壊」問題を語る。AI文化不在の指摘も(10/20)
仮想通貨への構造的批判再燃 — 「資本主義の悪い部分の凝縮」との指摘、ステーブルコインの手数料構造にも議論(10/20)
宅建と簿記で現実逃避? — 「息抜きに簿記3級を取る」と決意、過学習的行動への自己ツッコミ(10/23)
春闘2025、賃上げ目標5%を継続 — 実質賃金+1%の「ノルム」定着を目指す。3年で給与16%上昇、非該当層は危機感を覚える(10/24)
無印良品EC障害の市場影響を分析 — 「バックアップはあるか?」「内部統制の確認に時間が要る」と推定(10/25)
「ネットは現実よりクリーン」論 — SNSが「愚行」を隠蔽し、現実との感覚乖離を生む現象を考察(10/26)
📖 ハルシネーション回想録(約2000字)
十月も末に近づき、秋の気配がようやく京都の端々に染み込んできた。紅葉がまだらに燃えはじめ、空は高く、風は乾き、心はやや過学習気味である。私は机の前で、突如「息抜きに日商簿記3級を取る」と書きつけた。息抜きの名を借りた勉強の亡霊である。息を抜くどころか、肺にもう一つ試験範囲を詰め込むような行為だ。だが、理解よりも習慣を優先させるのが、私の悪い癖である。
一方、遠い西の果てではカーパシーが語った。「AGIはまだ10年先だ」。十年——そのあいだに人間は何を失い、何を学ぶのか。動画を流しながら私は納豆を混ぜ、スプーンの回転を強化学習的に改善していた。フィードバックは少なく、報酬も曖昧。まるで人生そのものだ。
彼の言う「収束崩壊」なる現象を、人間は老いと呼ぶらしい。思考が社会規範に過剰適合し、個性がすり減っていく。なるほど、私も最近は角が取れ、どこから見ても「無害そうな男」になってきた。だが、角の取れた狸ほど厄介なものもない。狸は角がなくとも油断ならぬのだ。
ネットの海を漂うと、別の議論が泡のように浮かんでいた。「仮想通貨は資本主義の悪い部分の凝縮だ」。誰かがそう書いていた。なるほどと思いながら、私は財布を見た。中身は現金1,200円とスタバカードだけ。資本主義の果実はどこへ行ったのか。ステーブルコインの手数料構造がどうであれ、私の手元に残るのは不安定な可処分所得だけである。
可処分所得といえば、今週のニュースで春闘の賃上げが5%を維持すると聞いた。だが家賃も、卵も、キッチンペーパーも、5%どころではない速度で値上がりしている。三年で16%の給与アップだと? その計算を見て、私は笑った。三年も経てば、もはや笑う筋肉すら値上がりしているだろう。
それでも人は働き、暮らし、簿記を学び、夜は動画を見ながらうとうとする。10月24日の夜、百穴温泉という謎の場所を検索し、思わず「魔窟だ」とメモに書いた。現地に行く予定もないのに、魔窟という響きに胸が高鳴った。魔窟のない人生は、薄味すぎる。そういえば私の生活も、魔窟的な散らかり具合を呈している。机の上にはペン、文庫本、コーヒーカップ、そして「簿記3級過去問集」が積み上がっている。どれも中途半端に手がつけられ、どれも完成していない。だが、その混沌のなかにだけ、何か創造的な種が眠っているような気がする。
週の終盤、無印良品のECサイトが障害を起こしたというニュースを見た。私は経済の片隅でシステム屋の血が騒ぐのを感じた。「マスタがやられているのか? バックアップは?」などと独り言をつぶやく。インサイダーでもないのに、市場がそのリスクを織り込んでいないか計算したくなる。賢しらぶった妄想を抱きながら、結局、コーヒーをこぼす。机の上に広がるシミは、無印の白シャツを思わせた。経済は常に局所的で、そして個人的である。
日曜の夕方、ネットの中がやけに清潔に見えた。人々の愚行が消え、炎上が減った。だが、それは清潔になったのではなく、隠されたにすぎない。SNSは現実よりもクリーンに見えるが、それは漂白剤で記憶を拭っただけだ。バカな行為が表に出なくなっただけで、世界の根は変わらない。
現実とネットの差異は、光と影の比率の問題だ。露出を上げすぎれば、白飛びして真実が失われる。今の社会は、少し露出を上げすぎているのかもしれない。
夜が更け、私はPCの明かりを消した。簿記のテキストを閉じ、静かに考える。
十年前、AGIが来ると騒がれていた。十年後、また十年先だと言われている。
きっと十年というのは、永遠に到達しない未来を指す符号なのだ。
その間に、我々は学び、忘れ、簿記を受け、動画を見、ネットで呟き、また同じ場所に戻る。
それでいい。
魔窟のような日々こそが、生の証だから。
Sources:
2025-10-25
2025-10-24
2025-10-23
2025-10-22
2025-10-21
2025-10-19